無意識の行動一覧

無意識の行動

「……あれ?」

と気づいたのは、いつのことだったでしょう。机の上に、お茶が二本ある。

私は今朝、自動販売機で一本お茶を買いました。しかし、机の上に置いてあるもう一本のお茶は、コンビニにしか売っていないお茶。もちろん私に覚えはありません。

「これ、誰のお茶?」

「いやいや、あんたのでしょう。あんたのカバンから出てきたじゃん」

確かに、机の上に並んだ二本のお茶は、なぜか私のカバンから出てきたのです。二本もお茶を買った覚えはないのに……。

私の他にも数人周りにいたのですが、全員自分のお茶を持っていて、謎のお茶は行き場を失いました。一体誰のお茶なのか。

どうやら私は、無意識のうちに忘れ物だったお茶を取ってきてしまっていたようなのですね。

大学の机の上には、ときどき忘れ物であるお茶が置いてあることがあります。私が持っていたお茶はどこかに置いてあった忘れ物だったのです。

似たようなことが実は前にもありました。ある日筆箱をのぞくと、見覚えのないペンが入っていたのです。

私のではない誰かのペン。そのペンの持ち主は、バイト先である塾の生徒のものでした。

私には全く覚えがないのですが、無意識に彼女のペンを自分の筆箱に納めてしまっていたのです。

……これは、怖い。私は全く記憶にないのです。知らない人のお茶をカバンに入れていたり、私のものではないペンを筆箱に入れていたり。

覚えがないということは、完全に無意識下の行為だったということになります。

これがまだ笑い話で済ませることだからいいのですが、たとえばコンビニで無意識のうちに同じことをやってしまったら……笑いごとになりません。

おそらくぼーっとしていたことが原因でしょうが、気を引き締めなくてはいけませんね。

ホワイトキー

謎のたぬき

「たっ、たぬき!」

最初はその言葉の意味が分からず、私はぽかんとしていました。

「たぬき?」

「うん、たぬき! ほら、あそこ」

私たちは学食の窓際席に座っていました。大きなガラス窓から外の様子をうかがうことができる、見晴らしのいい場所です。

その場所で私は友達の指差す方に目を向けました。……そして、納得。

なんと、キャンパス内に本物のたぬきがいるではないですか!犬でも猫でもなく、たぬき!

「たっ、たぬき!」

交通事故で死んでいるたぬきを見ることは多々ありましたが、生きているたぬきを見たのはこれが初めてです。

窓のすぐ側をたぬきは通って行きます。やはり人がいたからなのか、足早に去っていったのですが、それでも数十秒は姿を観察することができました。

私は呆然。友達は唖然。そのたぬきは道を横断して、森の中に入っていきました。

山に囲まれたキャンパスですから、山から降りて学校に来て、そして来た道を帰っていったのでしょうか。

「なぜ、こんなところにたぬきが?」

しかし場違いであることは確かです。

「……誰かに化けていたのかもしれないよ。でも、何かが起こって、変化がとけてしまったから、やべって言いながら慌てて山に帰っていったのかも」

その説が出てからは、じゃああのたぬきは一体誰なのかという話題で持ちきりになりました。あの人じゃない、いいやこの人じゃない?

それにしても、大学に堂々と入ってきたたぬきには、一体何の目的があったのでしょうか。

大学にはたぬきにとって餌になるようなものはないでしょうし、人がいっぱいいるのですからすすんで来たいと思えるような場所でもないでしょうに。

「だから、化けてるんだって!」

その説が一番有力なような気もします。たぬきって本当に化けるんですかね?

うーん、謎だ。